牛は暑さに弱い!?猛暑が家畜と農家に与える影響とその対策法とは?
近年、夏になると厳しい暑さ続きで熱中症対策に気を付けなければならない毎日ですね。
昼間の暑さに加え夜の寝苦しさには嫌気がする程です…
しかし実は私たち人間よりも暑さに弱いことで多大な影響を受けている動物が存在します。
それは家畜である牛です。
事実、牛は一定の気温を超えると
- 生産性の低下
- 牛の事故死
- 繁殖率の低下
などの多くの影響を受けることが分かっています。
その悪影響は”飼料摂取量の減少”と”暑さによるストレス”から起きています。
暑さの影響で食欲がなくなくなったり暑さからストレスを感じることは私たち人間にもあることですが牛にとって暑さの影響はかなり大きいもののようです…
そのためにも猛暑から牛を守る対策がより重要になってきますね。
そこで今回は猛暑が家畜に与える具体的な影響とその対策方法について紹介していきます。
牛が暑さに弱いことで受ける影響とその対策方法!
まず始めに牛と言っても、牛乳を生産する乳用牛や食肉を生産する肉用牛などの品種があります。
いずれにしろ、どちらの品種も暑さによる”食欲不振とストレス”で大きな影響を受けています。
まずは1つめの影響は食欲不振による生産性の低下です。
乳用牛の場合は食欲がなくなることで牛乳を作るエネルギーが足りなくなくなり、牛乳量の生産性が落ちることにつながります。
食用牛の場合も同じく食欲がなくなることで、体重の増加につながらず大きく肥えた食用牛の生産率が落ちることになります。
よって搾乳量の減少と牛の体格の変化による収入減の経済的ダメージを畜産農家は受けることになりますね。
そして2つめの影響は食欲不振によるビタミンA消耗での肥育牛の事故死です。
これは食用牛のみに当てはまりますが、私たちは食用牛の価値を例えば”A5ランク”などと表しますよね。
この肉の価値を左右するのが、肉の断片にある”サシ”と呼ばれる脂部分で、このサシにはビタミンAという牛にとって必須栄養素が関係しています。
このサシの量などを上手く調整し美味しい肉にするためには、ビタミンAのコントロール、つまり制限が必要です。
飼育農家はビタミンAを混ぜた餌を牛に与えることで常にギリギリの状態のビタミンAのバランスをとっています。
しかし牛の食欲不振が起こるとギリギリのバランスを保っていたビタミンAがひどく欠乏し死亡することがあります。
牛は気温が約25度を超えだすと食欲不振になると言われています。
私たち人間にとっての25度は快適に生活できる程度の温度であることを考えると牛は相当、暑さに弱いことが分かります。
最後に3つめの影響は暑さからのストレスによる繁殖率の低下です。
牛は暑さによるストレスで受精が上手くいかず、繁殖率の低下による周産期疾病の増加を招くと言われています。
つまり暑さによるストレスで受胎率と言われる妊娠する確率が低下し、分娩が遅れることにつながるのです。
通常、農家は大切な牛の妊娠や出産の適切な時期を逃さないように、牛を人工授精で妊娠させています。
牛の妊娠や出産がそれほど大切な理由は、乳用牛の場合、出産を経てはじめて牛乳を作ることができ、食用牛の場合は次回の出荷に向けて育てる子牛が必要だからです。
そのため妊娠や出産が遅れることで、繁殖率は低下するにも関わらず、エサ代や人権費は必要なままなので、諸経費の経済的ダメージを畜産農家は受けます。
そこで、牛の命を守ることや家畜農家の経済的ダメージを改善するためにも、暑さ対策が重要になってきますね。
各農家が行っている家畜のための暑さ対策にも様々なものがありますが、暑さ対策の基本として”牛舎内の温度上昇を防ぐこと”と”牛の体感温度を下げること”が重要です。
まず牛舎内の温度上昇を防ぐ策として、屋根や壁に断熱材を使用することや、熱を集めない白い色のペンキや石灰を塗ることです。
または、樹木やよしずを使って日光を遮断することも大切です。
次に牛の体感温度を下げる策として扇風機や換気扇を使い家畜に風を充てることで体温の上昇を食い止めます。
他にも牛に散水することで体感温度を下げることも簡単にできる暑さ対策の1つですね。
羊や他の家畜も暑さに弱い!?
牛が暑さにとても弱いことは分かりましたが、他にも羊、豚、鶏といった家畜も同様に暑さに影響を受けてます。
例えば羊も暑さに弱く、快適に過ごせる温度がなんと約5~20度と言われています。
この温度を超えると繁殖に悪影響が出ると言われています。
私たち人間が約5~20度で過ごすとなると逆に防寒対策が必要な気温ですね…
また豚は皮下脂肪が厚く汗腺が退化しているため特に暑さに弱いと言われています。
繁殖豚の場合は適正温度が約15~18度と言われています。
この温度もまた私たち人間にとっては過ごしにくいほどの寒い気温ですね。
最後に鶏にも豚同様に汗腺がないため暑熱環境には著しく弱いと言われています。
約35度以上の気温の場合は熱死が多発してしまうほどです。
卵を産む量が少なくなったり、卵のからが薄いものが出てきます。
いずれの家畜も暑さに弱いことに加え生産性の低下、発育の停滞、繁殖への影響を及ぼしていることが分かります。
まとめ
今回は、猛暑が、牛、羊、豚、鶏などの家畜に与える具体的な影響とその対策方法について調査しました。
その結果、家畜は猛暑によるストレスや飼料摂取量の減少から生産性の減少やビタミンA消耗による肥育牛の事故、繁殖率の低下などの影響を受けていることが分かりました。
また、家畜や家畜農家を守るために基本的な暑さ対策として、屋根や壁に断熱材を使用すること、熱を集めない白い色のペンキや石灰を塗ることに加え、樹木やよしずを使って日光を遮断することも大切でありことが分かりました。
他にも扇風機や換気扇を使い家畜に風を充てたり、牛に散水することで体感温度を下げることも基本的な暑さ対策の1つでした。
私たち人間に熱中症対策が必要なように家畜にも暑さ対策が必要です。
ますますの気温上昇が見込まれるからこそ家畜や家畜農家を守るための対策がより一層、必要になりそうです。